バードカービング
バードカービングとは、鳥の木彫のことで、アメリカでカモなどの水鳥の狩猟のため、おびき寄せるおとりとして作られたデコイが始まりとされ、その後、精巧で芸術性の高い現在のバードカービングとなったと言われています。日本には、1979年に紹介され、各地に広まり展示会やコンクールが行われ、剥製に代わっての展示がされるようになっている。
青森県内では、青森市で私が所属する「木精の会」が唯一の組織で、初心者講座として先輩によるnhk文化教室講座や青森市民スクール年1回講座がありましたが、現在は実施していません。
私も市民スクールで基礎を学び、現在「木精の会」の会員として先輩方から学びながら製作活動を行っています。会では、毎年5月に観光物産館“アスパム”2階エネルギー館ギャラリーで、会員の作品展示会(2019年は第32回バードカービング展5月10日~同14日、5日間)開催するほか、中央市民センター祭での展示、梵珠センター作品展への展示等を行っています。
2019年は、5月にアスパム展示会のほか、青森市森林博物館で11/9~12/22日までのロングラン展示会を実施しました。
是非関心のある方はご来場いただければ幸いです。又、会は、毎月原則第2・4木曜日に青森市中央市民センター工作室(3階)で会員定例製作を行っていますので、制作過程をご覧になれます。
★製作について
■ 全国的には、柔らかい外材「チュペロ」を電動ルーター等を使って微妙な凹凸表現する製作方法をしているようですが、本会では安価で手に入りやすい青森県産「ヒバ」材「シナノキ」材の端材を利用して製作しています。
彫刻刀による削り作業(一部ルーターを利用している者もいる。)に紙やすりで滑らかにし、アクリルペイントでの着色、針金にマスキングテープを巻いて作る足(一部ハンダ付けで製作している人もいる)、目は、中央で販売しているガラスアイ(ガラスの目玉)、プラスチック、木彫りで製作しています。
(主な作業工程)
1.製作する鳥の寸法を本から、ネット等から鳥のポーズを決め、原寸大で製作する。
※鳥は、大きさ、翼や尾羽の形や色、足の形、目の大きさ・色、嘴の形など全部違うことと、羽を広げた姿、首をかしげたポーズなどを絵で描いて採寸データをきめる。
2..木材から帯鋸盤、糸鋸、ジグソー等で型取りする。(本会では、一戸会長が型取りしてくれる)
※木材の質、順目・逆目により、柔らか,固さ、練り、削りやすさに違いがあり、木の個性ともいえる。
3.彫刻刀で各部位を荒削りし、左右のバランス、羽の形、重なりを整えていく。鳥の羽は薄いので、木で削っても同じ羽数にするのは難しいため、枚数は一部省略する。
精細に削った後は、紙やすりで滑らかにする。
4.針金で足を製作する。(針金に3mm幅マスキングテープを巻き付ける)、銅板ハンダ付けする方もいる。
5.目は、販売のガラスアイを埋め込むか、彫刻刀で彫る。一部、手芸店で販売しているプラスチックアイを使う人もいる。埋め込み形は、穴を掘り埋め込み、瞼や隙間調整に、パテやボンドを利用する。木材の欠けなども一部はパテで修正する場合もある。
6.形が完成したら、バーニングという専用焼き鏝で、羽の筋や羽毛感を出すため木に焼きキズをつける。
7.完成したら、色塗りの下地として、透明ラッカー、ジェッソ、アクリル絵の具の順で色を塗る。
8.鳥が完成したら、止まり木台座を製作し、完成させる。
★鳥についての解説
鳥は、人間の手の代わりに翼があり、空を飛びます。バードカービングでは、翼を閉じたもの、広げたものなど、いろんな表情、場面を表現します。このため、鳥についての色々調べています。
鳥は、木の実、虫、魚、肉食など食べ物により、嘴の形、大きさ、翼の形、住む居る場所など千差万別です。体は、羽で覆われていますが、翼のフエザーや体全体を覆っているダウンがあり、形や長さ、枚数など種類により違います。また薄い羽は重なりあったり、抜け落ちていたりでバードカービングでは同じように製作できませんので、おおよその状況で表現しますが、基本を無視しないようにしています。
鳥は、飛ぶために体を軽くするため空洞が多い骨、羽ばたくために胸筋の胸肉と頭を支える着地時の足が人間と違って前に斜めに出ている。これは前部が重いためと言われています。
人間の足は、骨盤から腿、脛の2本で構成されていますが、鳥は3本(大腿骨、脛骨、跗蹠骨)のようです。指は概ねj前3本、後ろ1本だが、後ろが無いもの、前の1本が後ろまで動き前2本、後ろ2本などがある。
羽は常緑樹のように少しずつ抜け落ち生えるものがほとんどですが、落葉樹のように一斉に生え変わるものも一部あるようです。羽は汚れたり、雨などで濡れ、うまく広げれなくなると飛べなくなるため、水浴びし日光浴で乾かす、砂浴びでべたべた汚れを取り除く、お尻そばの尾脂腺からの分泌物を嘴や頭部で各羽に塗り付け撥水性を保っているそうです。一部の鳥は粉棉羽という羽毛が崩れて粉状となり羽繕いしている鳥もいるそうです。
下記図は、学研「大自然のふしぎ 鳥の生態図鑑」から
「木精の会」の先輩方の作品を紹介する。(バードカービング出品作品)
定例5月、青森市・アスパム2階・エルネギー館ギャラリーで5日間開催している「バードカービング展」の一部を紹介する。2019年のテーマは「オシドリ」です。こうご期待!
“オシドリ夫婦”という言葉があるが、オスはメスが卵を温め始めると、メスに任せ去っていくという。(90%の鳥は一夫一妻で、巣の近くで巣立ちまで防衛や交代する。)、また別のメスを見つけ浮気やナンパするのもいるという。恋愛中ぴったり寄り添うのも、他のオスにちょっかい出されないようにガードしているだけという。会員の令和元年作品をご紹介。